(注) 以下は2018年9月20日に国際善隣協会で行った私の講演の要旨である。
私は、約40年間の外務省勤務で8回の海外勤務を経験したが、高校時代のアメリカ留学を含めると合計24年間、合計7つの異なる国で過ごしたことになる。海外生活には興味深いことが多いが、その経験をもとに「アジア太平洋情勢と日本の役割」というテーマで私が感じていることをお話ししたい。
1 私の人生で感じたこと
(1)高校3年の時、アメリカに1年間留学した。1961年から62年なので日本は高度成長を始める前である。まだ戦後を引きずっていたような段階の日本からアメリカに行って、お世話になるホストファミリーのローズ家で初めてみた巨大な冷蔵庫や1ヶ月分ぐらいの肉などの食料品が詰め込まれている大型冷凍庫などに驚嘆した。毎日受験を目指して過ごしていた日本の高校生にとって、アメリカの学校の開放感、自由な男女交際、健全な社会人を育てるような教育方針などに仰天した。日本にはない「スピーチ」という科目を選んで人前で面白く話す方法を学んだり、生まれて初めてデートしたり卒業時の大ダンスパーティーに参加したり、慣れない初体験はその後の人生に大いに役に立った。
そして、ある日、アメリカの家族との夕食で私が取り上げた原爆の話は激しい論争に発展し、その時の経験が私の将来に決定的な影響を与えることになった。私がこの機微な問題を取り上げたのは、日本の高校の旅行で訪ねた広島の原爆資料館で見た展示の強烈な印象があったからだが、アメリカの家族とも打ち解けるようになったので、あえて原爆という兵器の非人道性に触れて見た。案の定というか、私の話が始まるやいなや、アメリカのお母さんが、顔を真っ赤に興奮させて大声を出した。「ゴウタロウ、何をいうの!」その勢いに押されてお母さんを見ると、燃えるような目で私を睨んでいる。「あの戦争を始めたのは卑怯な手段で真珠湾を奇襲した日本でしょう!原爆は長く続いた戦争の犠牲者が増えるのを防ぐために投下されたのよ!」と、興奮冷めやらない勢いである。お父さん、二人の姉と高校生の弟も次に私が何を言うのかを凝視し見守っている。私は「お母さん、真珠湾攻撃のことはもちろん知っているけど、僕は兵器としての原爆の殺傷力の凄さや非人道性を言いたかったんです」と言葉を絞り出した。真珠湾攻撃や原爆についてのアメリカ人の感情や認識は知っていたので驚きはしなかったが、もともと元気の良かったお母さんの激しい感情の露出は予想を超えたもので、私の脳裏に深く刻まれた。思うに、私は無意識のうちに原爆の被害者としての立場から話したのだろうが、真珠湾攻撃の被害者という意識のアメリカ人が他方にいるのだ。同じ事象についてこれほど双方の立場が違うという事実に気づくことになった。それがきっかけでその後戦争について少し勉強をした。戦争のことをより知るにつれて、どの戦争でも指導者や兵士に至るま狂気のような状況になって非人道的、非倫理的な行為に陥り、何十万、何百万の無辜の市民が犠牲になることが避けられないことがわかってくる。だから、戦争は何としても避けなければならない。戦争回避のためには国と国が交渉することが重要だと思うようになって、私は将来の仕事として外交官になることを目指すようになった。戦争は絶対避けなければならないとの意識は、外務省勤務中ずっと持ち続けて行動した。
(2)外務省では日本と海外の勤務を繰り返して行ったり来たりするが、私はフランス(2回)、フィリピン、旧ソ連、韓国、ホノルル、カンボジア、デンマークの7カ国に在住した。それぞれの国で多くの日本との違いに出会うが、「違い」はとても面白く、学びやインスピレーションの源泉である。2、3の例を挙げれば、旧ソ連末期の経済社会体制の驚くばかりの非効率性や不合理さを目の当たりにして市場原理の重要性を実感した。人々を監視したり盗聴や検閲をする人間不信の統治姿勢から民主主義の価値を知った。カンボジアでは貧困の凄まじさに胸を打たれたが、ODAの重要性と日本的アプローチの優れた点に密かな確信と誇りを感じた。デンマークでは簡素で透明な社会システムと人間の生き方から多くのインスピレーションを得た。中でも、男女協働による家事や育児の営み、定時退社が当たり前の家庭中心の生活、日本では信じられないほどの高い税金を払いながら享受する豊かな生活などから、日本のあり方について多くの示唆を得た。
(3)いろいろな国を回ってみると、世界には無知、誤解、偏見が満ちていて、これらがしばしば国家や民族間の憎悪や紛争を助長させていることを知る。対立している一方の国は、相手の国や国民を激しく非難し敵視するが、その相手の国に行ってみると非難や敵視の理由は無知や偏見誤解に基づいていると感じることが多い。会ってみると人間はどこも同じだということがわかる。被害を受けた国民の悲しみは人間の当然の気持ちである。敵視し合うイスラエルとパレスチナの人たちがもし直接出会って話せば、相手も同じ普通の人間だということも理解できる。だから、抗争をする国同士の政府や国民は相手の立場に身を置いて考えることが重要だ。私は戦争中日本軍が全土を占領したフィリピンの勤務で各地を回ってみると、戦争中に日本軍と戦って亡くなった家族や友人の話をよく聞いた。当時の思い出や感情がまだ残っていることを感じた。韓国では、日本の植民地統治時代の「皇民化政策」が誇り高い韓国(朝鮮)の人々の心を傷つけ、特に創氏改名は家系を大事にする向こうの人々に奥深い恨みの念を残したが、そのことについて日本人が十分認識していないことが、未だに続く日韓間の感情的軋轢の背景にあることもわかった。相手の立場に身を置いて考えることが重要な所以である。
ともかく世界を回ると、どこにもいい人たちがいて、素晴らしい文化を発見することもある。会って人間として話せば、すぐ仲良くなれる。高齢になると「終の棲み家」をどこに定めようかと考える人も多いが、私にとって終の棲み家は世界であると感じている。
(4)世界を行脚していると日本を振り返ることが多い。その結果私が思うのは、日本は世界に稀な文化大国だと言うことだ。世界中の人々が日本の文化に関心を持ち、それを通じて日本人に親近感を覚える。遠いアフリカや中東の人たちも、近くてしばしば反日行動が繰り返される韓国や中国でも、日本の文化に関心と愛着を持つ人々が大多数である。その背景には、日本には世界の人々を惹きつける極めて多様な文化のジャンルがある。歌舞伎や能などの古典芸能、絵巻や浮世絵などの美術(北斎はフランスの印象派の巨匠たちも惹きつけて19世紀後半にフランスやヨーロッパにジャポニスムを起こした)、文学(俳句や近現代の文学も人気が高い)、柔道(世界中にくまなく浸透)、和食などの食文化、若者文化(マンガ、アニメ、コスプレ)等々、どれも真に世界中で人気がある。加えて、日本人が持つ誠実さ、責任感、秩序や冷静さなどの資質がある。東日本大震災の時の罹災者の秩序ある冷静な態度は世界中に報道されて賞賛された。日本人はあまり気付いていないが、これらの日本の文化力はアメリカや中国も真似のできない強力なソフトパワーであり、日本ブランドでもある。
2 世界は大変化と混迷の時代に:アジア太平洋情勢の展望
目を転じてアジア太平洋を中心に世界情勢を見てみよう。アジア太平洋には大きな変化が起こっているが、混迷を加速する要素と将来に向けて期待の持てる肯定的要素がある。
(1)超大国であり続けたアメリカが最近世界のリーダーから撹乱者になりつつある。トランプ大統領になってそれが顕著だが、実はオバマ大統領の時代からその兆候が見られた。ブッシュ(息子)大統領時代のイラク戦争などの経験をもとに、オバマ大統領は「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と言って中東でのアメリカの軍事プレセンズを徐々に減らす政策をとった。アジアでの軍事プレセンズもやや上下はしたが低下傾向になった。超大国が隙を見せると他の国や勢力がすかさずその隙間に入り込んでくるのが世界の現実である。米国の軍事プレゼンス低下に伴い、中東地域が不安定化した。シリアの内戦が継続し混乱が深まるとアサド政権を支援するロシアが軍事介入を強め、イスラム過激派武装集団のISなども勢力拡大を図るようになる。混乱が深まり、トルコやイランの諸勢力も参入する。
そのロシアは国際的批判をものともせず2014年にクリミヤ半島を併合した。長い間軍事力強化に邁進してきた中国も東シナ海、南シナ海の島々の領有権を一方的に宣言し、そこに軍事的施設を構築して着々と海洋での支配力を強化している。アメリカの退潮を狙って国際的影響力を高めようとするロシアや中国などを「新帝国主義国家」と呼ぶ論者も出て来た。クリミヤ半島併合や根拠なく南シナ海などを囲い込むことは国際法違反であるが、これら両国は「法の支配」を主張する日本や欧州の声を無視して行動している。トランプ大統領も国際ルールを意に介しない行動をするので、今や「法の支配」と言う国際社会の重要な原則が危機に瀕している状態である。
(2)この間、中国はますます地域で支配力を強めている。中国は「一帯一路」「中国製造2025」などの壮大な構想力をもち、それを実行する力を蓄えて来た。その背景には、過去30年ぐらいを通じて蓄えた絶大な経済力があり、その経済力を使って軍事力を顕著に高めて来たことがある。東シナ海、南シナ海で領有権を主張して軍事施設を築いて来たことに対していくつかの東南アジアの国々が異論を唱え領有権を争っている。そのうちフィリピンは常設仲裁裁判所に中国を提訴した。裁判所の判断は中国の主張に根拠なしとされたにもかかわらず、中国は国際的司法判断を全く無視して、海洋主権や権益拡大を続けている。経済力と軍事力を使って自己主張と覇権主義的行動を見せている。国際社会の声に耳を貸さない傲慢な態度の意図は怖ろしい。
(3)トランプ政権は中国のこうした姿勢に危機感を持ち種々の対抗策をとるようになったが、中国は一歩も引かず従来の政策を強力に押し進めようとしていることから、米中間の覇権争いの暗雲が世界を覆うようになって来た。最近顕著になっているのは米中間の貿易戦争である。二国間の交渉で関税引き上げの脅しを使いながら赤字削減を図ろうとするトランプ大統領に対し中国は逐一アメリカに報復関税を課して対抗するので、米中貿易戦争のエスカーレーションは止まず、サプライチェーンが世界的に構築されている今日、米中間の争いは日本を含む世界の経済に深刻なマイナスの影響を及ぼしかねない状況である。軍事面では、中国はかねてより海洋主権の拡大を目指し、東シナ海から南シナ海にかけて自国の内海とすべく一方的に「第一列島線」と称する線を沖縄から台湾の東を通ってフィリッピンの方向に引き、その内側の海洋警備活動を強化している。尖閣諸島付近の海上警備活動強化もその表れである。さらに、小笠原諸島、グアム島を通ってインドネシアの方向に「第二列島線」を引いて太平洋の真ん中でアメリカとの軍事的対峙に備える構えをしている。米中間の貿易戦争や軍事的対峙の背景にはデジタルなどの先端IT技術をめぐる覇権争いがある。IT技術における世界での優位性が中国に脅かされている米国に大きな焦りがある。貿易戦争も軍事的対峙も両大国の国益がかかっており、解決が難しい深刻な事態である。
(4)アジア太平洋地域のもう一つの混迷要素は朝鮮半島だ。北朝鮮の自己認識は、小さな自国を世界中の国々が敵視して潰そうとしているというものである。だから、指導者も指導者の主張を信じる国民も自国を守るために命をかけている。小さな国が自分の国を守る唯一の手段は軍事力であると考えて、朝鮮戦争以降数十年にわたり必死に軍事力強化に邁進して来た。「ソウルを一瞬のうちに火の海」にできるような大量の戦車や大砲を備え、米軍が駐留する日本に届き太平洋にも達するミサイルを開発し、アメリカの攻撃を抑止するための核兵器保有を実現して来た。何十年にわたる北朝鮮の軍事力構築の結果、いまや韓国や米国も迂闊に北朝鮮に軍事力行使ができない状態がある。アメリカが明確に北朝鮮の体制保証をしそれを北が信じるようにならない限り、北朝鮮が核を廃棄することはなかろうと思う。何十年と手練手管で世界を相手にして国を維持して来た北朝鮮である。
(5)以上がアジア太平洋地域の混迷を助長する主要因であるが、将来の安定に向けて幾分なりとも期待できる肯定的要素も見て取れる。まず、急速に発展しつつあるインドがある。国連によると、13億の人口を持つインドは2024年にも中国の人口を凌駕して世界一になるそうだ。インドの人口構成を見ると現在25歳以下が人口の53%を占めている。先週インドに出張した。この国のインフラ整備は遅れているが、その事実はこれから経済成長の伸びしろが大きいことを示している。インドにはITの高い技術を習得した若者が多く、これからのインドの発展を担う大きな力になるだろう。インドは民主主義国家であり、日本をはじめてとして価値を共有する西側諸国とも協力しやすい関係にある。
(6)1967年に発足したアセアン(東南アジア諸国連合)は10カ国となり、安定した発展を続けている。アジアは世界の成長センターと言われて来たが、中でもアセアンは最近全体の平均経済成長率を高めて発展している。経済や社会の発展のために協力し合い、国際的な政治問題でも協調を図るようになって来た。今日「アセアン共同体」構築を目指して域内10カ国間の協力関係を強化している。2015年にはその一要素である「アセアン経済共同体」が創立され、2020年代に「政治安全保障共同体」と「社会文化共同体」を結成するため準備をしている。日本はアセアン発足当初からODA などを通じ一貫してアセアンを支援し、これがその後のアセアンの経済社会の発展に多く寄与して来た。我が国は引き続きアセアン共同体構築を支援しており、今後も地域の安定勢力てとして日本の重要なパートナーである。
(7)このアセアン10カ国は、日本、中国、韓国の3カ国とも様々な面で協力する努力をして来た。日本も「アセアン+3(日中韓)」の連携に努力して成果もあったが、その後日中間や日韓間の歴史問題などをめぐる確執もあってうまく進捗しないこともあった。しかし、最近は「アセアン+6」の連携への萌芽が見られるようになった。この6カ国とは、日中韓の3カ国に加えたインド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国である。発展するインドや価値観を共有するオーストラリア、ニュージーランドとの連携は、より大きな地域での協力関係を実現するために重要である。最近中国が日本との関係改善に舵を切って来たことも追い風である。「アセアン+6」連携の当面のきっかけは、RCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)合意に向けた交渉の進展である。アセアンにこれら6カ国を加えた全体では世界の人口の半分を占め、GDPや貿易額は世界の3割を占める。この巨大な広域圏で貿易や投資などを通じたヒトやモノの動きが自由化されるとその効果は計り知れない。
3 日本の役割は何か
このように、アジア太平洋地域には混迷を助長する要素と連携に向けた肯定的要素が混在する。近年、国際社会での存在感が低下している日本はどうすべきか、どんな役割を果たすべきか。
(1)先ず、一体化を強める日米同盟をどう運営すべきかという問題がある。北朝鮮のミサイルや核開発による脅威が増し中国も軍事力を背景に高姿勢が続く中で、単独では対処ができない日本は日米同盟を強化するしか方法がない。安倍政権は4年前、集団自衛権行使を容認する政策に転換し日米同盟一体化の動きを強め、米軍と自衛隊の共同訓練も増している。周辺の脅威に対応すべく防衛力強化のための予算も増加傾向にある。中国の軍事力強化と海洋活動強化に伴い周辺国の軍事費も上昇している。軍事費は一旦上昇するとそれが継続し周辺国との軍拡競争も助長され、軍需産業の後押しもあって逆転させることは通常極めて難しい。さらに、トランプ大統領は、米国製武器購入増大など日本をはじめ同盟国の軍事費(防衛費)の負担増を求めている。
現状では日本として抑止力強化は必要だが、どこまで、どのような方法でそれを実現するかは慎重に考えるべきだ。方向としては、日米間の役割分担を十分協議して軍事面での対処はできるだけ米側に依頼し、日本は抑止力向上に資する非軍事的側面で役割を果たす方向を目指すべきだ。(2)2016年に安倍総理は「自由で開かれたインド太平洋戦略」という新しい政策を発表した。これは、太平洋からインド洋を通ってアフリカ東海岸に至る広大な地域において国際法に従って自由で開かれた活動が実現されることを目指すものである。換言すれば、二つの大洋を結ぶ地域において「法の支配」を実現し経済の連結性を強化して発展させる政策である。その政策の具体性は必ずしも明確にはなっていないが、日本政府は引き続きこの政策の実施を国際社会に呼びかけている。太平洋からアフリカにかけて自由に経済活動を展開することは日本にとって死活的に重要であるので、日本はこの政策をより具体化させて中国を含めた多くの国々と提携して推進していくべきである。
(3)これらの政策を推進するには中国との協調と融和の努力が不可欠である。これはとても難しい課題である。中国との協調を図ると同時に欧州やアセアン、インド、豪州などの第3国とも緊密に連携する必要がある。では具体的にどんなことができるかとの見地から例を挙げてみる。日本は中国がアジアインフラ開発銀行(AIIB)を設立して「一帯一路政策」を進める中で、ヨーロッパやアジアの多くの国が参加したAIIBにアメリカとともに参加を見合わせている。日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」と「一帯一路」政策は同じ方向を向いた要素を持っているので、日本は方向を転換して「一帯一路」に関与して中国との連携を探ることができよう。また、最近中国は米中関係が緊張する中で、日本との関係改善を模索している。第3国でのインフラ整備支援やODA供与を日中間で協調して行おうとの空気も出て来ているようだ。日本も積極的にこの方向での協調を図るべく中国と協議することもできる。他方で、国際法に基づかない中国の行動の抑制を促し、中国の軍事力強化に伴う周辺国との軍拡競争を反転させるべく、欧州諸国やアセアン、インド、豪州等を糾合していくことも重要だ。これらはアジア太平洋地域における「国際善隣」関係を構築することでもあるが、日本がこの方向で主導性を発揮することが望まれる。
(4)最後に、私は「国際協力費(仮称)」という新しい予算費目の創設を提言したい。これはODA予算の概念を発展的に解消させるもので、対外依存度の高い日本の国家戦略として考えるべき重要性を持つと考えて、これまで講演や新聞への投稿(例えば朝日新聞2013年3月22日付朝刊「私の視点」)で主張して来た。巨大な財政赤字を抱える中で新しい予算費目の創設は困難視されるが、この予算は、従来のODA(1997年のピークから半減した日本のODA予算を再び増やしていく必要がある)に加えて文化交流(日本のブランドでもある文化という強力なソフトパワーを活用して親日国や日本の支援国を増やす)、人的交流(青年、メディア、教員等を含め各国との交流を抜本的に拡大して、中国や韓国をはじめとする海外の人々との相互認識を改善する)、技術協力(例えば、環境対策技術で他国を支援)、平和交流(例えば、ヒロシマ、ナガサキに海外の多くの政治家、メディア、知識人を招聘して軍縮への賛同者や国を増やす)などに使われることになる。その予算規模は増大する防衛予算を抑制しつつGDPの0.5%を目指すものとする。本年度の当初予算での防衛費は5兆円近いものになっているが、10数年にわたって削減され続けたODAの本年度の当初予算は5千5百億円台である。丸い数字で単純化すれば、防衛費を1%削減すればODAは10%近く増額できる。国の安全保障を確保する上で防衛費は重要であるが、文化交流、人的交流、その他も国家間や国民間の反感や憎悪を弱め、対立を回避しないし緩和する効果が期待され、安全保障に寄与するし、予算規模も防衛費よりずっと安価である。
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