(折々の思い9)

新しい年の願い

 

2021年が明けた。叶えられないかもしれないとの不安な気持ちで、私は次の願いを強く叫びたい。

コロナ禍が1日も早く収束しますように!

分断と混乱の深まる世界が少しでも国際協調主義の方向に向かいますように!

 コロナ禍が世界中に未曾有の困難をもたらした年が明けても、状況は悪化こそすれ改善の見通しが得られない。厳しい現実を見れば、飲食業界、旅行業界等にはまことに申し訳ないが経済をある程度犠牲にしてでもしばらく外出自粛ないし禁止をすべきだろう。GO TO トラベル実施もあり、自粛要請期間でも人の外出は予想よりかなり多く、結果として「第3波」の急拡大に繋がったと思う。「GO TO トラベル」は皮肉にもGO TO トラブルになった。オリンピック・パラリンピック実施を目指す日本政府は新たに緊急事態宣言も考えるべきだ。

 世界が国際協調に転ずることも虚しい願望かもしれない。以前にこの欄で書いた「ならず者国家」はまだ大方健在で、中国やロシアなどの行動の変化は期待薄だからだ。トランプ政権がやっと退陣の見通しとなり、まだ前途多難なバイデン政権がアメリカをよりまともな方向に戻そうとしていることは仄かな希望ではあり、英国のEU離脱問題が土壇場で妥協が成立し、最悪の状態がひとまず避けられそうになったことも朗報ではある。一方、分断は世界レベルでも、また多くの国の内部でも進んでいる。長期政権を目論むプーチンのロシアは構造改革の出来ない経済の持続的衰退の傾向が進み、これへの国内の反発から政権の弱化が進むかもしれないが、習近平の中国はまだ勢いが持続するだろう。

 世界が少しでも国際協調に向かうためにどうすべきだろうか。望ましい戦略は、日本がバイデン新政権の発足当初から国際協調への連携を組み、同時に欧州、ASEAN、豪州、インドなどを繋いで国際協調へ向けた民主主義国間の連帯システムを構築すべく、今まで以上に外交努力を展開することだ。これは覇権への野望を隠さない高姿勢の中国に対峙するために不可欠な要素であるが、他方で、対中経済関係の緊密性からアメリカとは独自に中国に対して粘り強い対話路線を積極化すべきだ。中国の軍事力強化路線は変わらないことから日本も一定の範囲で防衛力整備を図らざるを得ないとしても、必然的に軍備拡張競争になり日本はついていけなくなるのは明らかだ。そうするより、前述の民主主義国連帯を背景にして、日中経済の戦略的互恵関係を構築するともに民主主義諸国と中国との間の戦略的対話への橋渡し役を演ずるよう繰り返し努力すべきだと考える。現実にはとても難しいが、戦略を明確にして粘り強く諸国を繋ぐ日本独自の外交を強力に展開してほしいものだ。バイデン政権に対して「足繁く」日本が建設的助言を提供することも重要である。

                   (2021年1月3日)

 謹賀新年 2021

 

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