小川郷太郎
ドルドーニュ川に沿って屹立する崖山に貼りつくように出来たロック・ガジャックの街の風景。年代を刻んだ古い街の佇まいにとても惹かれて、大型スケッチブック3ページにわたって鉛筆で描いたのはもう50年近く前だが、その後3回ほどこれを水墨画で描きなおしたのは、町の古さと崖山の雰囲気がよほど気に入ったからだからと思う。(1972.1.4.)
フランス南西部をゆったりと蛇行するドルドーニュ川に沿ったラ・ロック・ガジャック付近の風景。切り立った岩山が聳えるその下に押し潰されそうになって張り付く家々は数世紀も前にできた古い村だそうだ。狭い道路を隔てて川が流れる。山や田園の緑、茶色の川の水、岩肌の色、古風騒然たる家々の壁と屋根などが調和した素晴らしい色彩的融合に魅せられた。見上げる崖の上には木々がリズムを奏でるように並ぶ。ドルドーニュ渓谷には私がフランスで最も好きな風景がある。(1972年のスケッチをもとに制作、1973年第13回日本南画院展出品、30号)
1973年に描いた同じ画題で再度水墨で制作したが、雰囲気は前作とは変わっている。第58回日本南画院展(2018年)に出品したもの(60号)
ボルドー近郊の有名なぶどう酒の産地の夏の風景。家並みやぶどう畑の風景が広がる。晩秋になり、ぶどうの木の葉が紅葉する頃は夏とは違う美しい景色が展開する(2018.7.9.)