



パリ郊外のヴィル・ダヴレイは小さい町だが、その面積の3分の2ぐらいが森や緑で覆われている。第2回目のパリ勤務ではこの町が気に入って3年半ほど家族と一緒に住み、二人の娘は近くの小学校と幼稚園に通った。ここには画家コローが好んで描いた池があり子供たちを連れてよく行った。随分昔に日本で見た白黒のフランス映画「シベールの日曜日」はここが舞台だ。その映画によく写った「コローの池」の周辺も晩秋には紅葉で彩られ、冬の池や森には靄が漂う。
サン・ジェルマン・アン・レイの高台から街を見た眺望は壮観だった。
四半世紀前にパリ北方サンリス市のノートルダム聖堂をスケッチしたものが元画。日中に描いたものだが、荘厳な雰囲気に合わせて朧月夜を想定して水墨画に仕上げた(2020年日本南画院第60回記念展は結局コロナウィルス感染拡大で幻の展覧会となった。)。
パリの北方60キロぐらいのサンリス市のノートルダム大聖堂の荘厳さに惹かれてスケッチした。複雑で精緻な建物の構造描写は難しく、何回かに分けて描いたが、あとから見ると細部にチグハグなところが見える。最近になって、これを120号の水墨画で描いてみた(が、精緻さより雰囲気を表すべく、朧月夜の聖堂を想像して描いてみた。果たして結果は?左側の「水墨画」をご笑覧ください。